このレビューはネタバレを含みます
これもまた、色々なテーマが複雑に組み合わさってるようで、面白かった。名作と言われるだけの事はある。
ブルックスの下りは、「人間は不自由に縛られ、また不自由によって守られている」という事を象徴しているように思う。やっと仮釈放されたのに、自由な娑婆に出ると自由の中で生きる事が出来ずに首をくくる。せっかく劣悪な刑務所から出られたのに、である。この話では刑務所だけど、普段の自分達はどうだろう?色んな枠組みに縛られているようで、実はそれに守られてはいないだろうか?非日常を描く事で日常に目を向ける、というのは虚構においてよくあることです。
そしてレッドが仮釈放される面接での語り。「仮釈放なんて要らない。更生なんてものはない。自分が殺した男と話してみたい。でも彼はもうこの世には居ない…」と語る事で、逆に釈放される。更生なんてものはない、罪は消えてなくならない、と自覚する事こそが本当の「更生」「反省」ということだろうか?