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ショーシャンクの空にのYU@Kのレビュー・感想・評価

ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)
4.0
刑務所という閉鎖空間の中で「希望」を失わず・他者に説き・遂には自ら手にするアンディの物語が、同じ囚人レッドの視点から語られる作品。刑務所内の陰鬱な現実に打ちのめされながらも懸命に希望を捨てないアンディの存在感と、脱獄におけるカタルシスが大きな魅力。
軸としては3つ。「1. 終始ぶれないアンディの希望論」「2. 刑務所内の陰鬱な現実と不条理からくる絶望」「3. 脱走のための下準備(伏線)とそれが果たされるカタルシス展開」。1と2は主に交互に描かれ、息つく暇がない。
刑務所に叩き込まれた囚人達には、その限られた空間での安息と幸せがある。そこを脱することは、人によっては絶望であるものの、アンディは終始そこに希望を求める。その姿勢の対比が、アンディを確固たる存在に描く。
脱走における伏線消化は素晴らしい。ハンマーの隠し場所、ポスターの存在、架空の人物による口座名義。それまでの2時間の作品時間内でさりげなく細かく大量に張られた伏線が、終盤ジワジワと効いてくる。ただの脱走ではなく、ちゃんと物語の帰結にもなっている。
140分越えという長尺の作品だが、作中では十数年が過ぎる。時に目を逸らしたくなる展開に見舞われながらも、丁寧に積み上げられた要素が終盤しっかりまとまって「オチ」となる。構成の綺麗さはアンディの脱獄までのプロットに似ている。
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