ひたる

ショーシャンクの空にのひたるのネタバレレビュー・内容・結末

ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

午前十時の映画祭にて。

フランク・ダラボン監督の作品は数年前に観た「グリーンマイル」以来2作目。どうやら彼の作品は肌に合わないらしい。人間の醜さが前面に出ていて後にどれほどのカタルシスがあったとしても不快感が勝ってしまう。それとどちらも刑務所が舞台だからか言葉が汚い。聞くに絶えない。

「正義」を振りかざす際は慎重にならなくてはならない。鉄則として感情を排し常に客観的であることだ。しかし今作に登場する鬼教官をはじめ警官たちはみな例外なくストレスを発散する手段として「正義」を利用している。これは昨今のスキャンダル報道を叩くゴシップ好きと何ら変わらない。とても醜悪なことだ。この点がとても不愉快だった。

脱走シーンは手に汗握った。計画していたことも、ましてや成功するなんて思ってもみなかった。ズボンの裾から掘り出した土を捨てるのは「大脱走」で履修済みだった。逆にそれが頭によぎったからこそ失敗のビジョンが浮かんだわけだが。

仮釈放されたおじいさんが首吊り自殺をしてしまうシーンは悲しかった。人間の適応能力が裏目に出た結果生まれた悲劇だ。でも同時に考えさせられた。彼が何の罪で服役したのかは分からないが、居心地のよかった刑務所に戻りたいという強い気持ちから強盗や殺人がよぎるシーンがある。私が大好きな漫画「ワールドトリガー」の主人公のセリフ『自分が「そうするべき」と思ったことから一度でも逃げたら、きっと本当に戦わなきゃいけないときにも逃げるようになる』を思い出した。まさにその通りだと思う。この言葉では「逃げる」という選択を一度すると、その先の人生でも「逃げる」という選択肢が浮かんでしまう、ということを示している。仮釈放されたおじいさんもそうだ。罪を犯すという選択肢が日常に入り込んでいる。つまりどれだけ自分を律し改心したとしても、ブレーキは壊れたままだということだ。

「ミスト」気になるけど楽しめるかなぁ。刑務所が舞台ではなさそうだし毛色が違うと願いたい。
ひたる

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