いろいろな楽しみのぎっしり詰まった名作。
モーガン・フリーマン演じるレッドのモノローグでアンディの人間としてのあり方が浮かび上がる。行動を淡々と語る回想なのに、親友としての語りには自然に尊敬が織り込まれ、それがレッドやアンディの表情とあいまってじんわり沁みてくる。
閉鎖空間にひとりの人間が加わり周りが変わって行く様子は心地よく、「フィガロの結婚」のくだりはそのクライマックス。空撮で空から降り注いでくるような音楽に涙が溢れる。そこからの様々な理不尽は、「組織あるある」な要素もあり目が離せない。ブルックスやレッドの外の世界への恐れと孤独の描写、トニーのくだりはあのキャラクターゆえ感情を抉られる。
行き詰まり感からの終盤の展開は爽快で、伸びやかな木々や草原の風景、南の海が自由を象徴する。遠景での二人のショットも新鮮。
アンディの心情に入りすぎないことで、完璧なアンディの行動を物語として受けとめられる。と考えると、ティム・ロビンスの演技力もまた素晴らしい。