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悪魔の手毬唄のdaiyuukiのレビュー・感想・評価

悪魔の手毬唄(1977年製作の映画)
4.3
古い因襲に縛られ、文明社会から隔離された岡山と兵庫の県境、四方を山に囲まれた鬼首村(オニコベムラ)。
青池歌名雄(北公次)は、葡萄酒工場に勤める青年。
歌名雄には、由良泰子(高橋洋子)という恋人がおり、仁礼文子(永野裕紀子)もまた、歌名雄が好きであった。
この由良家と仁礼家は、昔から村を二分する二大勢力であった。
しかし、二十年前に、恩田という詐欺師にだまされ、それ以来由良家の、勢いはとまってしまい、逆に仁礼家が前にもまして強くなった。
その時、亀の湯の源治郎、つまり歌名雄の父親が判別のつかない死体でみつかった。
この事件を今も自分の執念で追いかけているのが磯川警部(若山富三郎)。
磯川は、ナゾをとくために、金田一耕助に調査を依頼する。
金田一は、最初に恩田と特にかかわりがあった多々良放庵に会う。
その頃、村では大騒ぎ。というのも、別所千恵(仁科明子)が、今では人気歌手・大空ゆかりとなり、今日はその千恵の里帰りの日であった。
その晩、千恵の歓迎会の時に、第一の殺人事件が起きた。泰子が何者かによって殺されたのだった。
そして、泰子の通夜の晩、葡萄工場の発酵タンクの中に吊り下げられて死んでいる文子を発見。
この二つの殺人事件には、この地方につたわる、手毬唄の通りに行なわれていることを金田一は発見。
そして、文子の通夜の晩、犯人は、千恵に入れかわっている里子(永島暎子)を殺してしまう。
この犯人の正体と動機には、20年前の事件にまつわる悲しい秘密があった。
横溝正史のミステリー小説を映画化。
鬼首村を舞台に起こった仁礼家と由良家の娘たちが殺される殺人事件の謎が、20年前に起こった殺人事件と鬼首村に伝わる手毬唄が繋がっていることの関連を金田一耕助が紐解いていくミステリーが、仁礼家と由良家の根深い対立、20年前の殺人事件の加害者であり詐欺師の恩田と被害者の青池源治郎の驚きの正体、20年前の夫が殺された事件に囚われている青池リカとリカを20年前の殺人事件の呪縛から解き放ってあげたい磯川警部のすれ違いと絆、手毬唄になぞらえた凄惨でド派手な残酷美のある見立て殺人現場、犯人の動機に秘められた悲しい秘密と愛を絡めて描いていて、しっとりとした後味もあり、市川崑監督版金田一耕助シリーズの中で「犬神家の一族」「獄門島」と並ぶ人気作品と称されているのも納得の傑作ミステリー映画。
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