ツクヨミ

キートンの大列車追跡/キートン将軍/キートンの大列車強盗のツクヨミのレビュー・感想・評価

2.4
常に新しい笑いを求めたキートンの体を張った演技がすごい(語彙力低下)。
南北戦争が始まったばかりの南部では市民が次々と兵士に志願していく。そんな折に機関車運転手のジョニーも志願するが断られ…
バスター・キートン.クライド・ブラックマン監督作品。常に新しい笑いを求め三代喜劇王の一人と呼ばれたバスター・キートンが監督主演を務めた本作は、キートン自身の体を張った演技がすごいドタバタ喜劇だった。
まず今作のストーリーは至極単純で南北戦争時代の南部女性が北部軍人に攫われ、女性を奪われた主人公が助けるために奮闘する話になっている。その物語を列車を列車で追跡するというアクションで見せていくのだが、キートン演じる主人公の体を張った演技が楽しすぎた。今作が撮られた時代はサイレント真っ只中でスタントマンもいないしCGなんてあるわけ無い状況で、走る列車上を駆け回ったり銃撃戦や大砲を使ったアクションをするもんだからハラハラドキドキ感が凄まじい。スタント無しの危険すぎるアクションの連続はさながらサイレント時代のジャッキー・チェンと呼んでもいいだろう。
そして今作は当時チャップリンが得意としたドタバタ喜劇になっている。今作を見て感じたことはバスター・キートンの喜劇はチャップリンとは違い、誰もやりそうにない体を張ったアクションをコメディとして表現したことだ。チャップリンの喜劇は単純な喜劇としても楽しめるがその裏では社会性を反映させたドラマが存在している。それに対しキートンの喜劇は単純で見るものを驚かせ笑わせる直球のコメディという印象を受けた。
また今作は構成としても面白く、前半は主人公が北部を追跡する話だが後半は逆に主人公が北部から逃げる逆構図になっていた。追う者追われる者の反転はシンプルに面白いし、映像としても前半は右から左に流れていく映像が後半は左から右に流れるのも楽しい。
常に新しい笑いを求め意外性やオリジナリティを突き詰めたバスター・キートンは喜劇として本当に楽しい映画を作り上げた。チャップリンを楽しむのもいいが喜劇ならバスター・キートンも負けないぞという気概を本作に感じた。
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