ハリボ

エンジェル ウォーズのハリボのレビュー・感想・評価

エンジェル ウォーズ(2011年製作の映画)
4.3
武器はそろってる【2020年13本目】さあ、戦え

ああ おれたちは皆
眼をあけたまま
空を飛ぶ夢を見てるんだ
(引用元:BLEACH VOL.09 FOURTEEN DAYS FOR CONSPIRACY)

完全に不意をつかれた。
なんて圧倒的に映画的な映画なんだ!!!

まず、導入がうまい。
白と黒とに限りなく分けたコントラストと雨の輪郭すらわかりそうなはっきりした画面で美しくも残酷な物語が幕を開く。
ここんとこで、もう既に引き込まれてる自分がいる。おおっ!?これは、、、!?となる。

そして堕ちていく。精神の中へ。逃避の現実へ。
お次は、売春宿。
ここでも厳しい現実が突きつけられる。
ただ、そこに希望を見出す。

そして潜り込む。希望の中へ。勝利のための空想へ。
終いには、カンフー、SF、中世ファンタジー、なんでもありの無双シリーズのようなゲーム空間。ここで、もう、ふおおおおおおってなる!もう、ここで語彙力がなくなる!!!
テンションがえげつないことになる!!!
我慢した!たどり着いた!もう崩壊していいんだ!!!

なんてったって主役のエミリーブラウニング。セーラーに透き通るようなツインテールってえぐすぎ。スカートひらひらさせながらくるくる回って斬るってかっこよすぎかよ。
列車の中での戦闘が素晴らしかった。正直、もう戦闘はいいわってなりかけたところでワンカットのようにスローモーションで見せるところは、もうニヤニヤが止まらない。
ロボの顔の反射で動き見せるところとかたまらない。

個人的には、階層が一段下がる描写が毎回ベイビードールの顔を中心にカメラがぐるぐる回るだけになってたのが、下がり方をもう少し違う見せ方でも見たかったような気がする。
全部統一にしたことで、ああ、一段下がるのね、というのはわかるんだけど、話の展開でわかってくるし、親切すぎるような。

戦う描写の潜り込みがベイビードールの踊りっていうところの矛盾がたまらない。
要はこの戦闘シーンは男の欲望しかないシーンなのであって。美人、パーティ、刀、銃、セーラー服、ミニスカ、侍、ドラゴン、アクション、ロボット、探索もの、無双もの、脱出もの、、、。
かつて健康優良男子であった人ならば、間違いなくどこかひっかかる要素で構成されている。
ここでテンションが上がる仕組みにはなっているのにもかかわらず、登場人物の女性たちは、あくまでも売春宿で男性を相手しているだけって言う作りがとても面白い構造になってる。
男が喜ぶもの、これが今作では女性が話を合わせないといけないようなものだったり、性的な女性が拒む欲望だったりする。
売春宿という設定がそれを生み出しているのにもかかわらず、この戦闘シーンで喜ぶ男子がいる。
それがこの映画の魅力にもなっている。

ベイビードールたちが戦った結果は、オチを考えれば、社会的に害悪にしかならない。
でも、彼女たちの目線で言えば、自由を手にするために戦ったっていう主観的、英雄目線がある。
何を成して、何を成果とするのか。それは、主観的か客観的のどちらかでしか見ることができない。
彼女たちの戦闘は彼女たちが必死にもがいている主観的な表れだし、それを見て興奮する僕ら視聴者は客観的に彼女たちを見ているからに過ぎない。

そんな世界でかっこ悪くても、変なところで見られて意図しない感情を持たれても、あなたにはあなたの良さがあるでしょう?さあ、戦うんだよという映画。

いや、ザックスナイダー大好きすぎるわ!!!ありがとう!!!
ハリボ

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