コーヒーマメ

地獄の黙示録・特別完全版のコーヒーマメのレビュー・感想・評価

地獄の黙示録・特別完全版(2001年製作の映画)
3.7
内容はさながら、舞台裏も狂気に満ちた戦争映画の怪作。
当初の予定の何倍もの莫大な資金と時間をかけて作り上げた本作の、スケールとインパクトの大きさはとてつもなく凄い。
ただ正直なところ、めちゃくちゃ長いわりに、戦争に対するメッセージはたかが知れていて、前半の戦争シーンだけ観れば、後はいいかな...といった感想を持った。

キャストは、役作りをしない、台詞を覚えてこない。
ロケ地では当時、内戦中だったため、撮影中に本物のヘリが飛んできたり、ハリケーンに見まわれてセットが全壊したり....
とにかく災難続きだった本作の舞台裏の空気は、やっぱり作品の中にも何と無く感じ取ることができる。
中盤以降、明らかに失速していくのだ。
意味のない戦争、と言われた戦いを描くには、脚本をもう少し練ったほうが良かったと思う。

それでも、前半の戦争シーンは語弊があるかもしれないが、とても良かった。
原生林の緑や空・海の青と、炎や血の赤(紅)のコントラストが見事。
塚本晋也監督が『野火』で参考にしたと言うのも頷ける。
特にアメリカの一斉爆撃は絶対に忘れられないほど衝撃的で、良くも悪くも、本作の一番の見どころとなっていた。

本作の舞台裏でのフランシス・F・コッポラの苦悩を彼の妻が撮ったドキュメンタリー(『ハート・オブ・ダークネス』)が存在するんだけど、TSUTAYAディスカスには置いていない様子。
いつかお目にかかりたい!!