F亮

セント・オブ・ウーマン/夢の香りのF亮のレビュー・感想・評価

4.7
最初に見たときは恥ずかしながらこの映画の素晴らしさに気づけなかった。なんて大馬鹿野郎だったのだろうか。

初見の時からアル・パチーノの演技力には驚かされた。最近は盲人のキャラクターも多くなって見慣れてきてはいるが、改めて鑑賞して彼がただの盲人の演技をしているのではなく、元軍人であり高潔さを捨てず生きることに腐心してきた男の演技を確立していたのだと思い知った。

主軸のストーリは至ってシンプルで、展開も王道と言っていいと思う。だが、これこそ全てなんだ。
最初は主人公チャーリーが学校での事件に巻き込まれて友を売るか売らないかの話になる。その後盲目の元将校フランクとのニューヨークでの旅路を経て再び自分の問題と向き合う形になっているが、このニューヨークでの中盤がすごく丁寧に作られている。
このニューヨークでのシーンのおかげでフランクがただの怖い男でないことが理解できるわけだが、そこに加えて一つ他の映画にできるんじゃないか、と思うようなドラマが盛り込んである。つまり中盤はフランクのドラマとも言える。ここで行われるホテルでのラストがまず感動。「足が絡まっても踊り続けて」この言葉を聞いてハッとするとともに、チャーリーとフランク、二人の友情を確信した。
そんな感動も束の間に最後、全校生徒の前での学校裁判になる。チャーリーの親は遠く離れてしまっているため出席できない。そこに親代わりに現れ、友を売らなかったチャーリーを救うために現れたフランクの格好良さといったら!!あまりの名演説に作品内の人物と一緒になって拍手したくなるほどだった。

この映画は、盲目の堅物将校が自分の人生の意味を再び見つけるドラマと脅迫や誘惑に屈せず困難であるが正しい選択を貫き通す覚悟のドラマがとても素晴らしくミックスされていて、お互いを引き立てる役割になっている。必ず見終わった後、ステキな気分になれるはず!


さて、語り過ぎて喉が乾いたな...
こんなときは「ジョン・ダニエル」でも飲もうか。
もちろんストレートで。
F亮

F亮