アカデミー脚色賞とは”小説や舞台から起こされた脚本におくられる賞”とあったけれども、脚色という言葉には「事実を面白く伝えるために粉飾を加える」というもう一つの意味がある。
2010年度のアカデミー賞を受賞したこの映画ではFBの誕生と爆発的成功が描かれ、まさに事実や”脚色”された作品だ。
マーク・ザッカーバーグはしょっぱなから非常識で個性的な人物に"脚色"されていたし、それでもひたすらクールなサイトを追及するクールな主人公であり続けた。
そのような脚色された内容でありながら、女子学生の人気投票サイト「フェイスマッシュ」は実在、ショーン・パーカーも実在、徹底的な悪役として描かれるウィンクルボス兄弟は実際にオリンピックに出場しているから驚きだ。
フェイスブックという企業の数奇さが”事実”と”脚色”を絶妙にミックスされて描かれている。
偉大なるThe White StripesのBall and Biscuitをはじめとして、ゆったりした音楽と対照的に早口でまくしたてる登場人物たち、それらが生み出す独特のスピード感もこの映画の重要なエッセンスだ。
音楽を担当したのはNine Inch Nailsのトレンド・レズナー。
おそらく個人的にこの映画に興奮した大きな理由だと思う。
唯一納得いかなかったことは、"nerd"で"asshole"なザッカーバーグは時間軸に関係なく物語が進むにつれて観客に「共感」が持たれるように描かれていること。F5キーを連打する最後のシーンをはじめとして、彼の人物像を一貫した描いてなかったように自分は感じた。