あんじょーら

ソーシャル・ネットワークのあんじょーらのレビュー・感想・評価

ソーシャル・ネットワーク(2010年製作の映画)
3.6
デビット・フィンチャー監督        ソニー・ピクチャーズ



デビット・フィンチャー作品、かなり好きです。中でも私にとっての1番は「セブン」ですし、「ファイトクラブ」も「ゾディアック」も好きです。ちょっと落ちて「パニックルーム」と「エイリアン3」でしょうか?「ゲーム」は風呂敷を広げ過ぎた感じがします。


そんな結構好きなフィンチャー作品を未だにひとつも劇場で見たことがないのですが(いつも何故だかタイミングが悪いです・・・)、この「ソーシャル・ネットワーク」も劇場では見逃してしまいましたが、最近DVDになったので見ました。


正直躊躇してしまったのは「Facebook」について何も知らないからであり、予備知識無しで楽しめるか?が不安だったのですが、見た結果としては何も知らなくても楽しかったですし、最近読んだ本の舞台がハーバードだったこともあり、映画としてとても楽しめました。


世界で5億人以上が登録しているソーシャルネットワークサービスである「Facebook」を開発した経緯を追いながら、その中心人物であるマーク・ザッカーバーグとその親友であるエドゥアルド・サベリンとの関係を焦点に絞りながらも、ハーバード大学のヒエラルキー、訴訟、ネット社会、シリコンバレー、執着、起業家、様々な物事や事柄を絡めながら、成長というかその結果を示す物語です。しかも時間軸を切り貼りしているために、非常に画面に集中させますし、ものすごく濃密な時間に感じられました。


まず、冒頭のマークと彼女のエリカとの会話シーンの凄さで画面に目が釘付け状態です、このシーンの話しの噛み合わなさと不穏感、そしてマーク・ザッカーバーグという非常に変わった(なんと言いますか、ルサンチマンを抱え込んだ、しかし天才でもあるのにコミュニケーションスキルが低く、執着ある人物)人物像が理解できます。その喋り方がまた秀逸で早口で何か問題あるのではないか?と受け手に疑わせる、信用ならざる人物として認識させられるのですが、それが僅か数分!です。このシーンは素晴らしかったです。まさに「掴み」が上手い、上手すぎます。


実際の企業の成り立ちを追った作品ですが、実際がどうだったのか?ということは置いておいて(いろいろネットでも見てみましたが、訴訟は事実ですけれど、映画が事実に近いわけでもないようです)、映画としてとても上手くまとまっていますし、面白いです。


古典的、友情と成功と裏切り、一般的成功を収めたモノの苦悩と手に入らざるモノ、というものに興味がある方に、フィンチャー作品が好きな方にオススメ致します。



アテンション・プリーズ!


ちょっとだけネタバレありです。
























ハーバードの(といったらほぼ世界の大学のトップクラス、なのに)大学構内のさらなるヒエラルキーの構造が面白くもキツイ現実として描かれていますし、マークの人柄がどうにも怪しく信用できないですし、不穏過ぎます。そういう人物像に仕立て上げた時点である意味この映画は成功だったと思いいます。起業家として出てくるショーン・パーカーも、マークも、そして私でさえ知っている有名な日本のベンチャー社長の方々もそうなのですが、あまりに型破りで(もちろん能力のある人々なんでしょうけれど)、とにかく関わり合いになりたくない感じが雰囲気としてよく表れていてびっくりしました。


最後のエリカが登録している、という部分でマークにとっては成功だったはずなのに、わざわざ友人の登録を行う部分に映画的な演出を感じさせすぎるきらいはありましたが、それでもなお面白い映画だったと思います。