HidekiIshimoto

一人息子のHidekiIshimotoのレビュー・感想・評価

一人息子(1936年製作の映画)
3.5
1936年作のタイムマシン映画。小津初トーキーってことでちょっと試作感。編集もあちこちチグハグ。けど役者はみんな小津印。哀愁も小津印。小津映画の上っ面だけ2次創作してたような高度成長期ホームドラマには絶対ない怖さがもう滲んでる。これは単に太平洋戦争5年前の怖さなのか?けど戦後作だって怖い気するから、結局何がどう怖いと言えない怖さ。この静かな怖さこそが、他の同時代巨匠と小津をくっきり分けてる気がするのです。怖さの実体が時代や世相にではなく、小津自身の内奥にある気がするのは錯覚でしょうか?小津さんの温厚顔がふとピンヘッドさんの修羅顔に被るのは俺だけでしょうか?ちょっと似てませんか?似てるでしょう。