Mayashico

一人息子のMayashicoのレビュー・感想・評価

一人息子(1936年製作の映画)
3.5
本作で干された衣服が風に揺れるショットの多さは異常。実際に数えたわけじゃないけど、実感として初期から後期になるにつれて洗濯物のショットが増えていってる気がする。もちろん本作ではそれが場末の家並みを示すものだったり、干された生糸は母が働く製糸工場と接続してるんだろうけど、後期の小津になるにつれてその存在感を増していく洗濯物のショットは、まさしく小津がずーっと描き続けてきた「風」(例えば初期における、くるくる回る汲み取り便所の換気扇や、風車)や「重力」(転倒や落下やぶら下がった帽子など)という2つの表象が収斂されて生まれたのではないかなと思う。それにしても髭面の笠智衆まじかっこいいな。あと笠智衆が小津のトーキーで初めて喋ってるのも感動的!(関係ないけど引用されるドイツ映画の麦畑の横移動すごかったな…)
Mayashico

Mayashico