ひろあき

青いパパイヤの香りのひろあきのレビュー・感想・評価

青いパパイヤの香り(1993年製作の映画)
4.2
蒸し暑い部屋で見るアジア映画は格別なんだが、後何回冷房をつけずに汗を流して映画を見れることやら。

家の金を持って幾度となく立ち去る父は、ベトナムの富を盗む宗主国のようである。彼は死んだ娘のことなど忘れてしまえと言うが、それ以降はほとんど黙して美しい音楽を奏でるだけ。
クェンは化粧をするムイを覗き、爺さんは未亡人の婆さんを覗き、兄は舅に説教される母を覗き、弟は恋心を忍ばせた悪戯のリアクションを覗く。そして観客の我々もまた覗くことを、特に前半のフィックスとドリーが多用され、光量が絞られたカメラワークにおいて強いられる。これらの視線とムイが小動物を見つめる視線に差異はあるのだろうか。文盲だった10才の彼女が通りの看板を見つめた眼差しとは異なる視線があるのだろうか。

映画の後に食べたパクチーと青唐辛子が効いたうどんと、カボチャと鯖とローズマリーの炒め物が美味かった。
ひろあき

ひろあき