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青いパパイヤの香りのmanamiのレビュー・感想・評価

青いパパイヤの香り(1993年製作の映画)
4.1
作品を見始めてすぐ、静寂が心地良いと感じた、こういう映画は大抵すき。無駄な音楽はなく、聞こえてくるのはピアノソナタ月光と、虫や鳥たちの鳴き声くらい。存在が消える、ということは死や失踪、あとは以前好きだった人とは違う人を想うようになること、など様々な方法で様々な想いで、人は自分を大切に想っていてくれている人の前からいとも簡単に消え、また自らも自分のことを想ってくれている人から逃げ、その存在を消し去ろうとする。他人から気持ちを向けられなくなることは、すなわち自らの存在証明を失うこと。ムイを取り巻く人々の存在はとても儚い。後半のムイの匂い立つような美しさは、前半のあどけないムイを見てきたからこそ急に花開いた女としての自我に見ているわたしまでむせかえりそうになる。ストーリーもすごく良かったし、何より美術装飾や建築が素晴らしかった、内側に開く飾り窓が魅力的だしウォン・カーウァイの花様年華でマギー・チャンが身につけていたような色鮮やかなアオザイも素敵だった(あちらはチャイナドレスでしたが)
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