あじむ

光のほうへのあじむのレビュー・感想・評価

光のほうへ(2010年製作の映画)
4.8
ダンサーインザダークかよってくらいの鬱映画。最高でした。


これはえげつない。アル中の母親からネグレクトにあう兄弟。冒頭の少年時代から突然大人になった彼らが描かれているけど、この移り変わり方があまりにも秀逸。

10歳にも満たないであろう兄弟の楽しみ方が、親の酒を盗みクラブミュージックを聴いてはしゃぐ。一見楽しそうな光景の裏にあった悲しさと切なさを感じずにはいられなかった。

わずかしか描かれなかった少年時代。愛を知らずに育った事が、いかに彼らに大きな影響を与えているのか。それが痛いほど伝わってくる。彼らのもがき苦しむ様があまりに悲しすぎました。

一番印象に残ってたのは、少年時代の兄弟が、まだ生まれて間もない赤ちゃんに教会の真似をして名前をつけるシーン。
電話帳をなぞり、そこから適当に決めるんですよ。何の意味も考えず、それっぽい名前を。こんなに悲しいことは無いんじゃないですかね。親からどれほどずさんな扱いを受けていたのかをこんな形で表現するなんて辛すぎるよ、、


その後の人生で、これでもかと言うほど辛い目にあう兄弟。そんな中、ラストで見せてくれる本当に儚く、微かな光。もうこれは泣くしかなかったです。これぞ傑作、素晴らしかった!
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