あおいことり

ライフ・アクアティックのあおいことりのネタバレレビュー・内容・結末

ライフ・アクアティック(2004年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

持ち点0.5±
★監督 0.25
★演者 0.5
★演技 0.5
★音楽 0.5
★脚本 0.25
★感情 0.25
★美術 0.5
★評価 0.25
★特筆 - 0.5

リアルさは排除されて、全てが独創的。
テーマは何だろう。嘘やインチキと世間が自分を認めなくても、自分にとっては真実であり、その経験や仲間達と家族は間違いなく本物であるという事だろうか。血は繋がっていなくても家族は家族。

“ジャガーザメPart 1”の出来事は、私から見ても嘘くさく。嘘か本当かわからないスタートだった。

ヘンリー・セレックがストップ・モーションで手掛ける海の生き物、浜に打ち上げられたクラゲの大群は創作物。海賊に一人で反撃するスティーブのアクションや潜水艦に全員で乗り込むシーンはあり得ない画。

そんな風にインチキ臭い演出を前面に押し出しながら、もう一方でスティーブの心情を描いていたように思う。

彼は無精子の為、実はネッドが息子ではない事をわかっている。その為パパとは呼ばせない。彼と家族として過ごすうち、最後の最後でパパ・スティーブと呼べと言う。

退屈しがちな淡々とした進行にアクセントとしてシロイルカの偵察隊やペットのオルカが可愛らしく映される。潜水艦の内部のセットも目を引いた。潜水艦も可愛い。

作中でセウ・ジョルジがポルトガル語でボサノバにカバーしたデヴィッド・ボウイが良かった。「スター・マン」や「ジギー・スターダスト」は名曲。

これらが好きでなければ、この作品はちょっと厳しいかなぁと思う。

俳優陣の演技は素晴らしいの一言。
ウィレム・デフォー演じるクラウスが良い味を出していた。

ラストの新しい船出は、希望に溢れていて良かった。

好き嫌いが別れる作品のため、減点。

《あらすじ》
海洋探検家でドキュメンタリー監督のスティーブ・ズィスー。チーム・ズィスーは彼にとって家族のような存在。彼が船長、妻のエレノアはチームのブレイン。

ある時、彼の仲間が幻の怪魚“ジャガーザメ”に食べられて死亡する。その瞬間は“ジャガーザメPart 1 ”として試写会で流されるが、肝心の“ジャガーザメ”が撮れておらず、食べられるシーンもない。画面には彼が海から必死に訴える姿のみ。評価は散々で世間にインチキだと仲間の死も信じてもらえなかった。この件をきっかけに最後の航海を考えるスティーブ。

そんな彼の元に昔の恋人の息子ネッドが、自分はあなたの息子だと名乗り出る。
スティーブはネッドをチーム・ズィスーに加えて航海に出る。

スティーブは元恋人に息子と打ち明けられても一度もネッドに会わなかった。その反面、ネッドが12歳の時に送ってきた手紙を大事に保管。ネッドには本当の父であるかのように振る舞って養子に迎える事まで考えていた。

妻エレノアは子供を欲していたが、スティーブの生き方を尊重しバックアップしてきた。自分勝手にネッドをチームに加えた夫に対して不満を感じて彼から離れる。その後、謝罪に来たスティーブとの対話から彼が無精子であると気づく。

紆余曲折あり“ジャガーザメ”にあと一歩のところでネッドは亡くなる。その時に撮影していたフィルムから“ジャガーザメ”らしき魚影がみつかる。

ネッドの死に人一倍の嘆きを見せたエレノア。スティーブはエレノアにネッドが生きていたら養子に迎えても反対しなかったかと尋ねる。エレノアは30歳の養子よ?と言いながら反対する訳がないと返す。

全員で潜水艦に乗り込み“ジャガーザメ”と深海でご対面。美しさに見惚れる者、ミサイルを打ち込めと言う者…そして場面が
“ジャガーザメPart 2”の試写会に切り替わる。スティーブの椅子は空席。

レッドカーペットに座り込むスティーブ。男の子がやってきて傍らに腰かける。

試写会が終わり、沢山の人が満足気に出てくるとスティーブは男の子を肩車して歩き出す。家族として迎えた息子だ。

最後はスティーブと息子、彼の仲間たちが
新しい衣装を身につけて船へ向かう。
あおいことり

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