ブライアン・デ・パルマ監督が、戦場での犯罪行為を告発した退役兵士の回想として描いた作品。
1966年の米兵士によるベトナムの少女強姦《192高地虐殺事件》という実際に起きた事件を題材にしている。
主演はマイケル・J・フォックス。
ベトナムから帰還して普通の生活に戻っても、戦地での強烈な体験が頭を過ぎる。戦地で上官たちの犯罪に苦悩し、告発へと至った若き兵士を演じている。
戦禍の最中にあるベトナム。そこは毒蛇や毒蜘蛛が徘徊するジャングルで、6時間にもわたって歩かねばならない強行軍で地獄のような世界。
偵察パトロール任務を受けたミザーブ軍曹（ショーン・ペン）率いる分隊は、その途中でベトナムの少女を誘拐して乱暴する。ただ1人エリクソン上等兵（マイケル・J・フォックス）だけは、少女を犯すことを頑なに拒み、彼らを非難した。その行動により隊から孤立し裏切り者のように扱われてしまう。エリクソンはなんとか少女を逃がそうとするが、結局少女は犯行の証拠隠滅のために殺されてしまう。
数日後に基地へ戻ったエリクソンは、小隊を誘拐と乱暴の容疑で中尉に告発するものの「それが世の中というものだ」と相手にされない。さらに命令系統を無視して大尉にかけ合うも「国際問題になる」として物事を大きくすることを嫌い、ミザーブ軍曹らを裁こうとしなかったが....結局、軍法会議で4人の罪状が確定された。
原題『Casualties of War』
カジュアリティーズとは、負傷者、死者、不慮の災難、不慮の傷害、奇禍を意味する。
戦争で傷ついた全ての人々を包含し、死んでいった同僚、苦悩したエリクソン、暴行された少女を指すものには間違いないが...
私は悪魔となってしまったミザーブ軍曹すらそこに含まれるに違いないと思えてならなかった😣
今作のショーン・ペンは小隊長を演じ、その愚劣な行為の中心人物であり、許されざるもので裁かれるべきだろうが、ただ非難するだけでは問題は解決しない。
この映画で描かれているベトナム戦争では、兵士たちはジャングルの中で強行軍したり、仲間が次々に射殺されたり、地雷で爆殺されているような緊張状態にあり、肉体も精神も疲弊しきっていた。
ショーン・ペンの表情を観ていてもその常軌を逸しているのがしっかりと伝わっていた。
擁護したいわけではないが、きっとみんな弱い人間だったのだ。
戦争は極限状態を作り出す原因となるということ。戦争がなければ、ミザーブ軍曹以下3人（ドン・ハーヴェイ、ジョン・C・ライリー、ジョン・レグイザモ）も刑罰が下ることはなかったわけだし😔
ドンパチ合戦はあるが、あくまでも戦争という過酷な状況下に置かれた人間の道徳性がテーマだった。
音楽はエンニオ・モリコーネ♫
映像も演技も全く悪く無い❗️
がしかし、事実を基に作られた作品が好みだけれど、なんだが後味が悪い気がしたかな？
告発されて、無期限で刑務所生活を送った人もいる。
告発がなければ...
たまたま表だった事であり、こんな話は数えきれないほどあるんだろう...それが人間の道徳性を崩壊させるものなんだから...
観た人にしか解らないかな？難しい...
作品としては良かったと思う🌟
