平田一

ザ・グレイ 凍える太陽の平田一のレビュー・感想・評価

ザ・グレイ 凍える太陽(2012年製作の映画)
4.3
オットウェイ(リーアム・ニーソン)がオオカミたちを殲滅させる。そんな映画を連想するなら、しっぺ返しを食らうと思う。これはそんな映画じゃなくて、生死を常に問われる映画。それがたまたまアクション映画の要素をまとっているだけだった。

一番それが顕著なのはフランク・グリロ(『シビル・ウォー』のクロスボーンズ)が演じるディアスをオットウェイが見守る場面。ディアスはケガと疲労のせいで歩くことさえ遂には出来ず、それを受け入れ、残った二人に前を行くよう静かに促す。それは単なるヤケじゃなくって、本人が言ったように"やれることは全部やった"。それをちゃんとオットウェイは分かっているから尊重した。その場面でこの映画は単なるアクション映画以上で、サバイバル映画でないのを明確に知らせてくれた。

リーアムは『96時間』のアクションスター面を巧妙に利用しながら、ゆっくりそれらを脱却していて、クライマックスの決断場面がお陰で見事なものになってた。イメージを理解しつつ、それを巧みに利用するのはまさに名優である証明。間違いなく大ファンなら絶対見といた方がいい。ファンってわけではないけどボクは心底脱帽してしまった。

この映画は『アポカリプト』や『レヴェナント 蘇えりし者』…これらに通じる素晴らしさをしっかりまとった作品なので、是非ともボクは見てほしいし、色んな思いに馳せて欲しい。
平田一

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