ve

最高殊勲夫人のveのレビュー・感想・評価

最高殊勲夫人(1959年製作の映画)
5.0
このポスタービジュアルだけで作品の素晴らしさが分かるのですが、あまりに傑作すぎて帰り道しばらく笑いが止まらず。

若尾文子が最高にキュート!冒頭の父親との野球談議とキャッチボール、そして食事シーンでの食べっぷりの良さ。もうこれだけで彼女の魅力が分かる。劇中の男たち同様、彼女に夢中になってしまったのは言うまでもなく。

彼女だけでなく、どの人物もあけっぴろげな性格で清々しい。ストーリー展開の速さもさることながら、彼らの台詞の応酬が物語にドライブ感を与える。その台詞もいちいち知性とユーモアがあって良い。当時の時代感が分かる。
さらにこの作品は都市に生きる人々の物語でもある。人物たちは満員電車に乗って通勤し、ぎゅう詰めのエレベーターに押し込まれ、人でいっぱいの店で食事をする。画面は常に人で溢れている。
それでも、意中の相手を見失うことなく呼び止めるという何気ないことになんだかグッときてしまった。ラストのプロポーズも話し声や音楽が飛び交うなかで行われるが、正直な気持ちを初めて伝えるからこそ大声で叫ぶ。そこには喧騒がなければならない。二人が結ばれた後、振られた男が大熱唱するシーンも一人ひとりの物語が感じられて最高に好きだ。

劇場で観て大満足してしまったので、寒さにかまけて疎かにしていたレビューを久々に更新。しばらくは幸せな気持ちに浸れそうです。
ve

ve