ふろいと

丑三つの村のふろいとのレビュー・感想・評価

丑三つの村(1983年製作の映画)
3.9
[クソババアぁぁ!夜這いに来たでえぇぇ〜〜!!!]
原作の西村望の同名小説は戦前に実際に起きた事件を基に書かれている。それは岡山県の山村で一人の青年により2時間足らずの間に30名が殺された、日本犯罪史上前代未聞の大量殺人事件。あまりこんなことを比較するのもあれだが、殺人数だけでいえば、オウムの地下鉄サリン事件を超えているのだ。この事件を参考に小説家の横溝正史も金田一もののミステリー作の一つ「八つ墓村」を描いている。

さて物語についてだが、本作の主人公である犬丸継男は村一番の秀才ともてはやされていた存在だったが、徴兵検査で結核と診断されたことで村人たちから白い目で見られるようになる。さらに彼が暮らしている村落は人妻のもとに夜這いがおうこうするような面があり、彼も夜這いをかける一人だった。しかし継男の悪い噂はたちまち広まり、みんなから嫌われ、淡い恋心を抱いている女の子からも相手にされなくなる。そしてその疎外感が村落の住民30名を殺害する犯行に及ぶ。

とにかく内容からしても全く陰々滅々としそうだけど、観たらびっくりするけど音楽が軽快でシンセサイザーがタラララタララ♪とオフビート調になっていて終盤の継男が殺戮の鬼と化す場面ではこのオフビートと異様にマッチングしていて、殺しが始まるのにまるで勇者が悪者退治に行くシーンのようにさえ感じた。

以前夜這いをかけていた人妻に復讐するシーンで上の台詞を言っていたのは衝撃でしかない。ラストで殺しまくるこの感じはQTの歴史改変3部作に通底しているなと思った。面白い!
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