エリーン

スキャナーズのエリーンのレビュー・感想・評価

スキャナーズ(1981年製作の映画)
5.0
厳格に科学的な雰囲気や化学産業や社会主義を思わせる無機質な会社の描写、非常に説得力のある理性的な登場人物に、突拍子も無くファンタジックな恐怖ストーリーと驚くべきゴア描写が立ち現れてくるのがクローネンバーグのクローネンバーグたる所以だと思う。
どんな端役まで演技上手いんだよ!と唸る。
スキャナーズが脳を守ったり雑音をなんとかしようとして、キャメロンならニット帽を被る、レボックはトレパネーション、ピアースはアート療法と、幻聴が聞こえる方の行動などからインスパイアされているのではと思われる。スキャニングと幻聴が似ているからこそのリアルな描写になっている。ピアースのいかにも普通の人らしいルックスからあれだけのアートが生み出されるのも生々しく、あれを細かく描いているからさらに物語に奥行きが出ていた。
スキャニングでコンピュータのデータを覗くというハッキングの描写1981年に表現されているのは先進的すぎるし未来予知かと思う。
音楽も素晴らしい。
完璧な映画の一言。
エリーン

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