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浪華悲歌のleylaのレビュー・感想・評価

浪華悲歌(1936年製作の映画)
4.0
溝口健二監督のトーキー初作品。
監督は大阪出身だっけ?と思えるぐらい大阪の人や街をイキイキと描写しているドラマだった。

後で特典映像の新藤兼人監督へのインタビューを観たら、脚本家の依田義賢が京都出身だからなのだと知りました。今作で初めて依田氏と組み、その後何作も傑作を生み出している。日本初のリアリズム映画であり、大阪弁の作品は、当時は珍しかったと新藤監督は言っています。

父の使い込みの借金を返すため愛人となり、兄の大学の費用のため美人局(つつもたせ)をする。家族のためにしたことが家族に理解されず、婚約者にも逃げられ、孤独になる主人公アヤ子。美しく生まれた女性の生きにくさ、男の身勝手さがドライに描かれる。まだ19歳の山田五十鈴さんの堂々とした演技に見惚れました。

モダンな服に身を包み、橋の上にたたずみ歩き出すアヤ子の哀しみと強い決意を感じるラストシーンは、当時の女性像としては新しかったに違いない。
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