坂本武演じる愚直な男、喜八を主人公とした「喜八物」の第1作。
喜八と弟分の次郎、2人とたまたま出会った娘の春江が織りなす三角関係、そして喜八と息子の富坊の父子関係を描く。
三角関係に最後まで終始するかと思っていたら、後半はちょっとシリアスな展開。
ただ、喜八のキャラクターによって最後まで明るく、人情味あふれる作品になっている。
富坊はなんだかんだで父親の喜八と対等な感じで、2人の掛け合いは可笑しく微笑ましい。
男性と女性の描写はもちろん現代的ではないが、物語のひとつの形としては絶対あり。
後の『寅さん』シリーズの原点とも言われるのも納得の、人情篤き物語。