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ショウタイムのswansongのレビュー・感想・評価

ショウタイム(2002年製作の映画)
4.1

200X年夏、未曾有の超大型台風が沖縄本島を直撃。

「だいじょぶだいじょぶ、アウトドアがダメでも "ちゅらうみ水族館"があるもんね♪」

高をくくってホテルの部屋でのんびりニュースを見ていたら、わが目を疑いたくなるようなテロップが画面を横切り始めました。

「…本日、路線バス、観光バスはすべて運休 … 美ら海水族館は臨時休業 …」

ウソやろ…。よりによって3日間しかない沖縄滞在の初日から、ホテルに軟禁かよ。

しかもこの想定外の超強台風は移動速度が遅くて、むこう数日間は沖縄に居座る模様。
俺らの大切な夏休みが、終わってしまった …

テレビにむかってあーだこーだと文句を言ってるうちに、廊下の通気孔からは雨水がどっと噴出するわ、コの字型のホテルの屋上を覆っていたガラス製の天蓋が破損して、小洒落たパティオはあっという間に水浸しになるわ …

いっぽうテレビ画面には、半壊した宿泊施設を追われ、膝まで水につかりながら豪雨のなかで肩を落とす気の毒な 「観光難民」の姿が !

アカン… もはやどこにも出かけられない。

こうなったら被害を免れたホテルの食堂からボーッと外を眺めて、暴風に根こそぎ吹き飛ばされてしだいに減っていくヤシの木の本数を数える以外にすることがありません。

「ウチらの休みを返してぇな」
「って言うか、この旅行の費用を全額返してくれよ」
「なんとかしておくれやす」
「マイガーッ!キルゼムオーール!」

食堂は、私たちと同じく突然行き場を失った宿泊客で溢れかえり、次第に不穏な空気が漂い始めます。

そこで、一歩間違えたら暴動を招きかねないこの状況に焦ったホテル側が急遽用意してくれたのが、大広間での 「楽しい映画上映会」。(笑)

「何が悲しゅうて、真夏のリゾートホテルで昼間っからこんなもん観なあかんねん!
… あれ? でもこれ、けっこうオモロいな…♪」

あのとき、一触即発の精神状態だった私たち宿泊客をとりあえずスクリーンの前に押し留め、「キングスマンなみの大殺戮」という最悪の事態を回避させてくれた偉大なる娯楽映画。

それがこの「ショウタイム」だったのです。
ありがとう、デ・ニーロ!
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