ゆうか

王妃マルゴのゆうかのレビュー・感想・評価

王妃マルゴ(1994年製作の映画)
3.0
やっやこしい話!
「モンテクリスト伯(岩窟王)」「三銃士」でお馴染みのアレクサンドル・デュマ・ペールが原作のおフランス宮廷絵巻。
時代は、マリーアントワネットやルイ14世を擁するブルボン王家の一つ前の王権「ヴァロア家」の末期。

ヴァロア家って「ベルサイユの薔薇」でジャンヌとロザリーの血筋として登場していたよね、となけなしの知識を引っ張り出してきて鑑賞。ジャンヌとロザリーは実在しないけどさ。

ヨーロッパ全土を巻き込んでの新教(プロテスタント)と旧教(カトリック)の宗教闘争が、パリをも襲う中、王権を握るヴァロア家(カトリック)の末娘・マルゴと、ブルボン家(プロテスタント)の王・アンリの政略結婚が行われる所から物語はスタート。
この婚姻は国王シャルル9世の母であり、亡きアンリ2世の后カトリーヌ=ド=メディシスが、プロテスタントを取り込むために決めたものだった。
だけど主人公マルゴはかなりの奔放な女性。
知性と美貌を兼ね揃え、近親相姦、愛人にとやりたい放題。
そんなマルゴが、田舎貴族(ナヴァール地方の王)のアンリとの婚姻を喜ぶはずが無く、「愛のない結婚」を結婚式の日に宣言。
だけど、ここからの2人の結びつきも見所。愛は無いけど、徐々に「同士」として絆を強めていく様子がねー!
若い美青年恋人とのやりとりより好きでした。

しかし結婚を打ち出しておいて、式の夜、シャルル9世が父とも慕い、新教徒でもあるコリニー提督を恐れた后カトリーヌは、コリニー提督暗殺を計画。
そして失敗。
新教徒による報復を恐れたカトリーヌお母様は、新教徒の掃討を決行。
もうやりたい放題です!展開早いねん!
これが歴史に有名な「聖バーテルミーの大虐殺」。
夜中の鐘が鳴り響いた瞬間に、老若男女、男女問わずに虐殺されてその数なんと6000人だとか。

マルゴはその中で、夫アンリを守り導きながらも、新教徒派の美青年・ラ・モール伯爵と逢瀬を重ね、運命に翻弄されていくーというお話。
フランスによるフランス人のための映画。
物語の背景にある宗教闘争に、知識のない私は「なんとなく」の流れで見てました。ちょともったいなーい、か。

でもでもマルゴを演じるイザベル・アジャーニーの美しいこと!
ゴッテゴテのデコルテドレスも似合っていて、暗く陰鬱な画面に栄えてた。特に最後の真っ白いドレスが黒い髪と合っていて眼福。白いドレスが赤く血に染まっていくのもマルゴの運命を象徴してるなーと・・・まさに血塗られた一族。

フランス王家って「パンをなければお菓子を食べればいいじゃない」とか、きらびやかーなイメージがあるけれど、血で血を洗う闘争やドッロドロの権謀術数が繰り広げられる、蛇の巣窟のようなイメージに変わったです。
でも、あまりに持って回りすぎていて、追いつかなかったなあ。共感も何もできないけど、この世界観を楽しむ映画かなと。
本当に一言で言うなら「豪華絢爛、陰鬱な宮廷絵巻」そして見所は「イザベル・アジャーニー」の美しさかな。私にとって。

美しく、豪華に着飾った貴族達が欲望むき出しにしたいことする様を見て、ダーウィンの言葉を実感した、そんな作品でした。
★3だけど、嫌いじゃない。この混沌とした世界は、日常で見れないものだもの。色彩も美しいから残酷絵本って感じ。
ゆうか

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