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カポネ大いに泣くのmitakosamaのレビュー・感想・評価

カポネ大いに泣く(1985年製作の映画)
1.3
スカパーにて初鑑賞。鈴木清順は偉大な監督としてリスペクトするし、プロデューサーの奥山も一定の評価はしている。だが今作はダメだーーーー!つまらなさ過ぎる。笑えないコメディの2時間がこんなに長く感じるとは。

昭和に浪花節語り(ショーケン)が芸者(田中裕子)を連れ禁酒法時代のサンフランシスコへ行き、そこでマフィアなどに揉まれる話。

まず、浪花節と黒人のジャズで異色のコラボレーションをしたら斬新で格好いいだろうなぁという製作陣の意図は伝わる。そしてこの目論みは空回りに終わった。長尺でフルコーラス歌い上げる浪花節ジャズがこんなに退屈とは…しかも何曲も歌われる。清順のシュールな映像美が、異質なコラボを異質なままで終わらせてるんだよね。

この異質は浪花節だけでなく全てに渡る。100年前のアメリカを描こうとするもマトモにセットやロケも組めない為に中途半端な看板などで誤摩化して作った背景。これも清順節のシュールさが滑りまくってる。
シュールと笑の相性の悪さがトコトン出た。

そんな中で俳優陣の健闘が唯一の救いだ。
3枚目を演じたショーケン。日系マフィアをニヒルに演じたジュリー。そして底知らずの演技力をとキュートさを発揮している田中裕子。この空回りした演出で演出意図を必死に汲んで演じたのが判り感嘆する。
それにしても田中裕子の可愛さよ。時に愛嬌を振りまき時にドスを利かせ、イヤラシく誘惑し、純情に恥じらう。コロコロ変わる演技力にメロメロだ。

なんか喜八のEAST MEETS WESTと被る薄ら寒さ。
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