がちゃん

カポネ大いに泣くのがちゃんのレビュー・感想・評価

カポネ大いに泣く(1985年製作の映画)
2.7
着想はいいんですよ。
浪花節とアメリカのブルースやジャズとのセッションの場面もとてもいい。

KKKに海右衛門をはじめとした日本人が迫害されたり、お馴染みの、禁酒法時代の、アル・カポネとガン鉄が酒を巡って対峙する場面もいいんです。

ショーケンが唸る河内音頭の場面なんか、田中裕子の合いの手を含めて最高なんです。

物語の中に太平洋戦争を絡めて、問題提起しようとしたのもわかる。
だけど、この緊張感のなさは何なんだろう。
130分の尺が3時間くらいに感じます。

鈴木清純の映画は、時々観ているのがつらくなるような作品がありますが、本作がまさにそう。
彼なりの自由な表現に観客のほとんどはついていけない。

自由な表現と言えば、真っ先に、フェデリコ・フェリーニが思いつきますが、彼の表現には彼にしか創造できないイメージがあった。そのイメージの羅列と観客は対決し酔うのであるが、鈴木清純の描くイメージは陳腐。
だから格闘する前に飽きてくる。

そんな本作での一番の見どころは、田中裕子。
彼女が登場するシーンだけ、陳腐なイメージが『画』となっていました。
彼女の魅力は監督の独りよがりのイメージを破壊します。

酷評したのは僕の浅学のせいかもしれません。
面白いという人がいるのも確かですので、
あなたの感想を聞かせてほしいです。

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