千年女優

惑星ソラリスの千年女優のレビュー・感想・評価

惑星ソラリス(1972年製作の映画)
4.0
山間の一軒家に父母と暮らす心理学者で、惑星ソラリスを探索する宇宙ステーション「プロメテウス」で起こる不思議な現象調査のため宇宙へ飛び立ったクリス・ケルヴィン。口数少ない二人の科学者から有益な情報を聞き出せずにいる彼が、かつて自殺したはずの妻ケリーの出現に驚き、訝しがりながらも交流を深める様を描いたSF映画です。

冷戦時代のソ連出身の映画作家ながら「詩人」と称される映像演出とフィロソフィックな物語で世界的な評価を残したアンドレイ・タルコフスキーがスタニスワフ・レムの同名小説を大胆にアレンジして映画化した1972年公開の作品で、パルムドールにノミネートされるなど後世に残るSF映画と評価されて後にアメリカでリメイクもされました。

『2001年宇宙の旅』から始まって『インターステラー』へと続いていく果てしない宇宙を観念的に捉えるSF物語の系譜に堂々と名を遺す一作で、静かでも豊かな情感あふれる映像の数々で内省的な物語を美しく彩ります。最期を迎えたらはるかな記憶の海に漂って暮らしたい。そんな人が至る根源的な欲求に迫ったロマンチックな宇宙映画です。
千年女優

千年女優