りょうた

セルピコのりょうたのレビュー・感想・評価

セルピコ(1973年製作の映画)
4.4
正義感の強い警官セルピコは、たった一人で、警察組織の腐敗に対して立ち向かって行く。徹底的に反発するセルピコであったが、正義を貫くあまり、孤立し、身の危機を感じ苦しむ。同僚に疎まれ、上司に裏切られ、外部の組織も体裁を考えて相手にしない。それでもセルピコは立ち向かう。

冒頭はセルピコが搬送されるところから始まる。有力者らしい人間たちが、撃たれたことを聞いて病院に駆け込む。

セルピコの恋人が話した王様の話が印象的。ある王様が治める国に、魔女がやってきて井戸に毒を入れた。それを飲んだ民衆は狂ってしまい、正気であるはずの王様が狂ってしまったと民衆は錯覚する。それを知った王様が、同じように井戸の毒を飲むと、民衆は王様が正気に戻ったと喜ぶ、という話。
賄賂が普通な警察組織にとって、セルピコは彼らにとって「王様」のような「狂った」存在でしかない。もしもセルピコが折れて賄賂を受け取れば、王様の話の民衆のように「正気」に戻ったと喜んだに違いない。しかし、セルピコは抵抗を続けた。

セルピコは幼少期の綺麗な夢のままの警官を残しておきたかった、守りたかったから、あそこまで徹底して対抗したのではないか。
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