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ゴールデン・エイティーズのPolaroidのレビュー・感想・評価

ゴールデン・エイティーズ(1986年製作の映画)
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これは意外だった。自分が見た他のアケルマン作品と違ってわかりやすいストーリーのミュージカルになっている。

冒頭、大理石の床のうえをコツコツコツコツ通過する何人もの女性の脚だけが映される。
バックで流れている音楽もポップスなのかロックなのかジャズなのかよくわからない曲調で、どんどん変わっていく。
いったいどんな映画なんだろうと思ったら、ショッピングモールを舞台に複数の三角関係を描くラブコメディだった。

お母さんのジャンヌ(デルフィーヌ・セリッグ)はかつて愛したアメリカ人イーライへの想いを振り切って日々の穏やかな生活に戻るのに、息子のロベールはマドとの結婚を明日に控えているのにもかかわらず、最後にリリとくっついてしまうあたりが想定外でよかった。
マドにも観客にも試着室でいちゃついている二人の脚しか見えないだけに、却って想像がかき立てられ、起こってしまっていることの残酷さが感じられた。

最後の最後、ようやくショッピングモールの外側、街の風景が描かれる。
すると、しれっとイーライに若い妻がいたりして、君のことが忘れられないんだ、忘れないだろう、みたいな再会と別れのメロドラマがモールの中だけのことだったんだとわかるのもあっけらかんとした恋愛観が窺えて、楽しい。80年代ってこうだったの?
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