lam

鳥のlamのレビュー・感想・評価

(1963年製作の映画)
3.5
なんだこれは?意味不明映画の殿堂入り。「鳥」が何なのか、いろいろ勘繰ったり、深読みしようとすると手からスルスル抜け落ちてしまう。観客が映画を見て、曖昧さに意味を見出してみたり、自分が見たものが偶然なのか、はたまた監督や脚本家の意図なのかを想像してみたりする。まるで、ヒッチコックの手のひらの上で転がされているような気分になった。

鳥は何かしらのメタファーかもと思いを巡らせてみても、皆目見当もつかない。てっきり、最初は、街のはずれにやってきたブルジョワ娘に対する妬みや怒りのメタファーが、鳥の攻撃となっているのかもと考えたりしてみた。ところが、そんな想像とは裏腹に、鳥の襲撃は、街を越えて人々を襲うし、何がなんだかさっぱり掴めない。

というわけで、もしかするとこのお話は、旦那を亡くして以降、未亡人となった母親がパラノイア、偏執病から立ち直る物語なのかも…となんとか腑に落とすことにしてみた。

未亡人にとって家の外、街の外は、危険がいっぱいで、鳥の襲撃はそのメタファーなのかもしれない。パラノイア患者にとっては、一歩外に出れば、他人が常に自分を批判してくる外敵に見えてしまう。そして、時には癇癪も起こしたりする。
というわけで、実の所、この映画はあの未亡人を中心に回っているのかもしれない。
lam

lam