shunsukeh

鳥のshunsukehのレビュー・感想・評価

(1963年製作の映画)
3.0
この映画は、その現象が起こる要因の説明は一切ないところから考えても、ヒッチコックが、 鳥が異様に群れて人を襲いだしたら怖い、これは映画になるかも、と単純に発想して生まれ たのではないかと思わせる。それくらい、筋はシンプルだ。前半は主人公のメラニーとミッ チの恋愛の序盤のような話。これは坦々と進む。鳥はその存在を示す程度で、抑揚を抑えた展開。これが後半、鳥が群れ、人を襲い始めたときの怖さと気持ち悪さを引き立てている。 アッと驚かしたり、血なまぐさいシーンはほとんどなく、BGMでの盛り上げもないのに、 最後まで観るものを引き付けるのは、流石名匠の技だと思う。この手のパニック映画によくある、人間の地球の環境に対する傲慢さが自然に反撃されるというような、少し浅めのメッ セージ性はこの映画にはなく、ストレートに、怖さと気持ち悪さを観客にぶつけたものだと思う。ヒッチコックの映画には謎解きの醍醐味を味わわせるものが多いが、これにはそれはない。ヒッチコック作品としては少し特殊な位置にあるのかもしれない。
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