似太郎

鳥の似太郎のレビュー・感想・評価

(1963年製作の映画)
5.0
【HUNT🦅】

私が小6のときNHK名画劇場でヒッチコックの『めまい』が放映されていた当時は「古めかしい映像だなぁ」と思っていた。

ジェームズ・スチュワートの如何にもアメリカ人的なマスクといい、テクニカラーで着色した合成場面といい、何とも古臭い印象を受けたのである。(逆に今では新鮮に映るが)

当時NHK名画劇場でヴィスコンティの『ベニスに死す』やアンゲロプロスの『永遠と一日』なんかをVHSに録画していた私は、並行してTSUTAYAレンタルでヒッチコック作品を漁っていた。本作と『サイコ』は今観ても怖い、と同時に斬新な演出法に唸るハリウッド史上の金字塔と言える映画なのである。

モンスターパニック映画の始祖という意味ではスピルバーグの『ジョーズ』と互角かも知れん。可愛い鳥たちが人間を襲い始める、という身も蓋もないアイデアがなぜか「日常と非日常の境界線」を突破した劇映画ならではの味わいだと感じる。全編に於いて「見る」「覗く」ことへのフェチズムが根底にある気がする。🤔

人間が自然や動物達に復讐されるという終末的ビジョンはヒッチコックらしい批評性を感じることもできる。個人的には地球を汚染する人類への警鐘を鳴らした作り手のメッセージを読み取った社会派ホラー。時代を先取りしたSFホラーの傑作で「あり得ないことがあり得るとしたら…」という奇抜なシナリオに魅せられた作品。

これだからヒッチコックはやめられない。☺️
似太郎

似太郎