夏休みの絵日記をめくるように、少年と中年男の夏のひとときを描いたロードムービー。
単純な笑いの中に見え隠れするペーソス、久石譲の抒情的なサウンドが重なり多くの日本人の琴線に触れるであろう名作に仕上がっている。
誰もが何処かで一度は聴いた事のあるノスタルジックなテーマ曲が本作のものだとは露知らず、月並みな表現ではあるが音楽の力というものを感じずにはいられない。
菊次郎と少年が二人で並んで歩く後ろ姿は擬似父子を彷彿とさせる本作屈指の名場面、古びたバス停の物悲しいショットも格別。
花火、海、プール、祭、スイカ、蝉の鳴き声…
日本の夏の原風景の玉手箱に思わず
「あの頃に戻りたい」
と願ってしまう。
夏の思い出の一本に是非。