無彩

菊次郎の夏の無彩のレビュー・感想・評価

菊次郎の夏(1999年製作の映画)
3.5
チャップリンの『キッド』を思い出した。良いことだけでなく、悪いことを教える中で生きることとは何かを描いている。

基本的にはたけし映画はどれも魅力的だと思うが、やはりバイク事故以前の映画に比べると淀川長治の言うところの生意気さや邪気は薄まってしまい、個人的にはそれなりの映画にとどまってしまっている感がある。(キッズ・リターンは大好きだが。)反対に無邪気さはより前面に出ている。例えば夢、天使、天狗、星空、らっきょと義太夫などのシーンは頭の中のイメージをそのまま映像にしているので、その無邪気さに少し気後れしてしまう。

また、母親と会うことができなかった正男の悲しみをたけしがどう慰めるのか期待していたが、おじさん達と遊ぶだけでうやむやになってしまった印象。

久石譲の『summer』がかかるシーンは感動的だし、正男役の男の子なんかは良く見つけてきたなと思うくらい良い演技をしていたが、やはり初期の作品に比べると魅力は少し落ちてしまう。
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