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許されざる者のodyssのレビュー・感想・評価

許されざる者(1959年製作の映画)
3.5
【時代の微妙さが作品に表れている】

オードリー・ヘプバーン唯一の西部劇だそうです。

1959年という製作年代が微妙ですね。60年代に入ると公民権運動が盛んになって、黒人やインディアン(ネイティブアメリカン)への差別的な見方が厳しい批判にさらされるのですが、この映画の脚本はその辺がかなり微妙で、一方では先住民(インディアン)だからといって雇用差別はしないといったセリフもありますが、筋書きを見ると、10年後だったら白人優位主義の映画だと批判を受けたかも知れないなと思わせるところがあります。

ヘプバーンの役どころもそうした微妙さのせいかかなり曖昧で、一緒に育った兄と、血を分けた兄との関係において、ちょっと後味が良くない結末を迎えます。(ネタバレになるので具体的には書きませんが。)

もとより、そうした後味の悪さも一種の「芸術」或いは「問題作」と考えればそれなりに納得がいくのですが、過渡期の価値観の揺れがこの映画の作りを曖昧なものにしたと見るべきなのではないでしょうか。どっちつかず、という言葉がぴったりくる作品だと思います。
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