なだ

二百三高地のなだのレビュー・感想・評価

二百三高地(1980年製作の映画)
3.7
映画『ゴールデンカムイ』熱が冷めやらず。「不死身の杉元」爆誕の歴史を紐解きたく鑑賞。

「宇宙戦艦ヤマト」の舛田利雄監督の代表作。
舛田監督が脚本を気に入り、約15億円の予算で制作。
戦場のシーンは爆発も人海も凄くて悲惨な様子がよく表れている。
悲惨過ぎて狂人なる人もあり、鶴見中尉があんな変な人になるのも解る。
杉元の傷がすぐ治るのはもうウルヴァリン並みの超人なのでは!?

また今作で日露戦争の流れが大体解るので3時間は長いが見る価値はある。


伊藤博文(森繁久彌)が金子堅太郎を米国に派遣するシーンもあり。
小国が大国に勝つには限定戦争を想定した対ロシア戦の講和斡旋に第三国が必要。

その斡旋国に選んだのは米国。
ハーバード大学卒の金子堅太郎がどうやって米国ルーズベルト大統領まで辿り着くか今作には無く、他のドラマもあったら観てみたい。

中国の旅順港を見下ろす203高地は、ロシアが鉄壁の要塞を築いており、大本営からの無茶振りで乃木希典(仲代達矢)が終始困り顔で作戦を決行。

この要塞を奪うのに多くの死傷者を出した戦法は愚策とも思える突撃が主流だったとか…

当時の陸軍将校の楽観視したセリフにはイラッとする。

庶民からの目線も描いており、
トルストイを敬愛しロシア民も愛すべしと説いた金沢の教師小賀(あおい輝彦)が凄惨な戦場体験にロシアを憎むように変わる。
その妻役に夏目雅子が観られたのは嬉しかったです。


乃木希典が御膳報告で泣き崩れちゃうシーンは印象的(実際は泣いた資料はないらしいけど)
乃木は西南戦争で御旗を敵の薩摩軍に取られており、二人の息子も日露戦争で失っている。

彼の人生において天皇の存在がどうだったのか解りかねるが、明治天皇崩御の際には妻共々後を追って殉死自殺をしている。


100年の歳月が経ち、乃木神社の乃木坂から名前を付けた乃木坂46が成功しているのも、乃木大将が苦笑いして見守っているような気がする。(当人は乃木家断絶を望んでいたらしいが…)
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