みおこし

山河遥かなりのみおこしのレビュー・感想・評価

山河遥かなり(1947年製作の映画)
3.8
ナチス=ドイツの捕虜になってしまった9歳の少年カレルは母親と離れ離れになり、壮絶な体験のショックから声を発することができなくなる。戦争が終わり、あてもなく路頭に迷っているとアメリカ兵のラルフに声を掛けられ、住居まで連れって行ってもらうのだが…。

はあ、泣けました…!本当に心に残る感動的なお話。収容所から解放された子供たちが列車で運ばれてくるシーンから始まって、戦後直後の荒れ果てたヨーロッパの土地が映されるのですが、決してこれは”再現”ではなくて、当時の”現実”そのもの。『地上より永遠に』然り、本当にこういった戦後間もない頃の反戦映画に関してはフレッド・ジンネマン監督の右に出る者はいないなと。
親も言葉も失ってしまった少年、少年の閉ざされた心を開こうと試みる若い米軍兵士、息子の生存を信じ続ける母親…。それぞれの視点で物語は進み、戦争によって失われてしまったものを少しずつ取り戻していく過程を描いています。
とにかく米兵ラルフを演じたモントゴメリー・クリフトが素敵…!まだ初々しさがありながら、カレルにどうにか言葉を取り戻させて親元に返してやろうと悪戦苦闘するのですが、どこまでも真摯なその姿勢に思わず涙。国境も立場も超えて人は助け合えることができるんだ、と当たり前だけど忘れがちなことを思い出させてくれる名演技でした。

展開は分かりやすいのですが、それ以上にこの時代のリアリティが凄まじくて自然と感情移入。エンディングも号泣必至の傑作です。
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