ぺっこり180度

博士の愛した数式のぺっこり180度のレビュー・感想・評価

博士の愛した数式(2005年製作の映画)
3.5
原作の静けさと美しさが好きだったので、映画も観てみました。
原作では「わたし」の視点で物語が綴られますが、映画は教師になった「√(ルート)」が生徒たちに「博士」と過ごした時間の話をする授業風景と回想シーンで構成されています。

映像美。原作に近い「静けさ」「穏やかさ」「暖かさ」を感じました。

何気ない「博士」と「わたし」の会話を見ているだけでちょっと顔がほころびます。
あと、個人的に深津絵里さんのスッとした顔・身体と、透明感のある声が大変好きなので、彼女の姿が映っているだけでもかなり満足。

小説と映像どちらが好きか選べと言われたら迷わず「小説」と答えますが、原作付きの映像にしては好きな方。

原作と大きく違ったのは先にも書いたように、数学の先生になった(吉岡秀隆さん演じる)「√」が生徒たちに過去を語るというところ。
普通にツメコミ授業で教えてしまったら小難しく、理解できないような公式などを、ドラマティックに語っています。なんて素敵な先生。
(但し現実にはあのような授業を行うのは難しいかもしれません。時間の問題もあり、生徒の態度もあり…。けれど、あればいいのにという「夢」の一つの形としてなんだかいいなあと思います。)
高1の時伝説の新卒ポンコツ数学教師により数学人生にピリオドを打たれた私としては、√のような先生と出会えていたら人生が違うなあとひたすらウラヤマシイ。

あと、大人になった√役の吉岡秀隆さんと、子ども時代の√役の子がとても似ていて笑えます。

主演・寺尾聰さんは若い頃はそうでもなかったのに、歳を重ねるたびに父・宇野重吉さんに似てきて感慨深いです。