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霧子の運命のcsmのレビュー・感想・評価

霧子の運命(1962年製作の映画)
5.0
石をぶつけるきり子少女の睨みつける眼差し、17歳で内藤武敏への吐き捨てるような返事、バカな輝雄を抱きしめる霧子の諦めの小皺全てが美しく生きるも死ぬも地獄すぎて苦しい。性と死がこびりついた温泉場のお布団畳むのもうイヤなんです。怒り狂ったすみ江ちゃんの乱れ髪、死んだ加藤嘉が残した鍬、蝶ネクタイの穂積、寝技もしつこい玉枝。村の婦人会に握り飯まで準備させて霧子捜索隊を鼻息荒く率いる田村高廣。側から見ればひとりの人間が持つ善悪も当人からすればどっちというわけでもなく色んな面があるのは当然で、更に弱い者を叩くのかと思わせて高廣はやっぱり霧子と並走して逃すのだし、あんなに怖がってた輝雄の最期にワンワン泣く岡田茉莉子と岸洋子だけ聴かせる闇に震えた。稲葉義男さんのことも忘れないよ。
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