eigajikou

アメリカの悲劇のeigajikouのレビュー・感想・評価

アメリカの悲劇(1931年製作の映画)
3.7
『陽のあたる場所』見たのでリメイク元の本作を続けて見てみた。

スタンバーグがディートリヒと組んでいた頃の作品(『間諜X27』と同年の1931年公開)だけど彼女は出ない現代の社会派リアリズム映画に通じるような作品。
『陽のあたる場所』はいかにもハリウッドスター共演のロマンチックな演出がされており、本作の方がセオドア・ドライサーの原作でアメリカ自然主義文学の傑作とされる「アメリカの悲劇」(読んでないけど)に近い世界観で映画化されているのだと思う。『陽のあたる場所』よりリアリズムを感じる演出。
公開時1931年に主演のフィリップス・ホームズは24歳、シルヴィア・シドニーは21歳で(映画で彼女が演じたロベルタは主人公より歳上の23歳の設定だった)

フィリップス・ホームズ演じるクラウドのダメンズぶりはモンゴメリー・クリフトより現代的だと思う。最近の日本映画に出てきそうな感じ。
シルヴィア・シドニーにはスターのオーラを感じてしまい、さすがに彼女の魅力がリアリズム調の演出でも隠せないと思ってしまった。
後年リズが演じたお嬢様役はフランシス・ディーなんだけど殆ど出番がなくて残念。今ならクリスティン・スチュワートがやりそうな感じでディーがクールに演じている。
『陽のあたる場所』(モンゴメリー・クリフトとリズのロマンチックな共演)とは違った現代のリアリズム演出系映画(ローチやダルデンヌ兄弟など)のルーツを辿るヘイズ・コード以前の作品として見るのに良い作品と思った。
ただアマプラの見放題にあるのは映像も音も状態悪くて結構根性入れて見ました😅
宗教2世の悲劇としても今見るのには向いてそう。(90年前と変わらない悲劇が繰り返されている…)
eigajikou

eigajikou