何もかもが究極的

英雄の条件の何もかもが究極的のレビュー・感想・評価

英雄の条件(2000年製作の映画)
3.8
都合の悪い事実を、誰かの都合でそれが当然なかったかのように「ない」前提で話が進みそうになる怖さを描いている。
その事実は絶対に存在しているのに、それが存在する事で都合が悪くなる人間が多いが為に、当然のようになかった事になり、事実をただ述べただけで異端扱いされる恐怖は、日常的な恐怖だ。
集団で生きている人間だからこそ、群れの大多数にとって不利益になる事実は、存在しない事にしたい問題だ。その心理は事実を告発する側も理解できてしまう心理だから、自分が正しい事をしているはずなのに、もしかしたらそうじゃないかもしれないという気持ちになる。
多くの相手がただ嘘を言っているだけならまだいいがその嘘を正そうとする人間が、多くの人間の不利益を被る事実のせいで自己嫌悪になり、自分が悪いのかもしれないと思い始める事が本当に怖い事であるように思う。