演者から女として生まれたこと自体を意識したような、演技や表現を超えた執念を感じられる。
いちばん印象に残った場面は、病気で引退した遊女が戻ってきて宿の一室でのたうち回るシーン。ホラーともとれる恐ろしい場面で、同時に哀しさも感じる凄まじいシーンである。
時代のせいもあり独特な台詞回しで笑ってしまいそうになるが、同時に笑ってはいけないという気分にもなる。
時代性でいうと男側(根津甚八)にも一切感情移入できない、まあとにかく当惑するというか、複雑な気持ちになるのだった。すべてセットだったと思うが、最後の場面はどうやって撮影したんだろうか。