リサフランク420

FAKEのリサフランク420のレビュー・感想・評価

FAKE(2016年製作の映画)
4.0
6/20/2017

ものごとを二元論で捉えてしまうのは人間が言語を扱う以上避けられないことだ。マスコミによる勧善懲悪的な報道には警戒するようには心掛けているつもりが、本作の前半で次々明らかになる佐村河内氏の苦しみに対してどんどん同情させられ、気づけば佐村河内・森達也によるマスコミに対する勧善懲悪的な展開に胸を熱くしてしまっている自分がいる。もちろんこれは立ち位置が変わっただけで、善悪の二元論からはまったく逃れられていない。森達也はそんな私をさらに裏切りどちらの立場からも宙吊りな状態にしてくる。まったく彼の思うツボである。「佐村河内の真相は●●だった!?」なんて話ではないのである。では結局この映画は何なのか?それはもはや、佐村河内がどうとかいう問題ではなく我々の世界認識の問題なのだ。

【結論】
猫がかわいい。

参考:
宮台真司の『FAKE』評:「社会も愛もそもそも不可能であること」に照準する映画が目立つ|Real Sound|リアルサウンド 映画部 http://realsound.jp/movie/2016/05/post-1637.html