YukiSano

狂った野獣のYukiSanoのレビュー・感想・評価

狂った野獣(1976年製作の映画)
4.2
伝説のノースタントアクション日本映画の金字塔。一番熱かった時代の狂った日本映画の代表作。

過剰なバスジャック・カーアクションが炸裂する。

主演の渡瀬恒彦が吹き替えなしでバイクからバスに飛び乗ったり、バスの横転を自分で運転した伝説のスタントが凄い。彼は日本のトム・クルーズだったらしい。ヤクザすら恐れるヤンチャっぷりと身体能力の高さは今も語り継がれている。

とにかく日本映画界が最後の輝きを放っていた70年代。狂った奴らが野獣のような映画を作っていた。太陽を盗んだ男や西武警察のような迷惑極まりないカーアクションをやりまくれた時代。はっきり言ってマッドマックス1作目に引けを取らない所かこっちの方が面白くない?って思ってしまう。キアヌのスピードにも影響を与えていそう。

バスだけでなく格好良すぎるバイクシーンからヘリコプタースタントなど、78分の中に詰め込まれまくってる見せ場。そして乗客達の醜くて愛くるしい人間模様。みんな人生の苦痛と哀愁を背負っているのが強力な磁力となって、この作品に不思議な深みをもたらしている。

もう2度とこんな日本映画は作られないのかと切なくなるが、確かに存在した野獣の爪痕。日本だってマッドマックスやスピードに負けない作品を作っていた証拠がここにある。

僕が生まれる前の最後の熱かった時代に憧れる。過ぎ去りし黄金時代にただただ想いを馳せるのみ…
YukiSano

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