猿山リム

聖なる嘘つき/その名はジェイコブの猿山リムのレビュー・感想・評価

3.4
 わたしの4月は嘘作品強化月間。
 タイトルに「嘘」が入っていたので購入したが、戦争モノのドラマ的な苦手な作品っぽくて鑑賞を躊躇っていた感じ。
 苦手ジャンルも観ようというのも「強化月間」なので恐る恐る鑑賞。

 第二次世界大戦の終盤のドイツ軍のユダヤ人な物語。
 主人公が偶然知った情報を嘘で膨らませて人々の希望を繋いだ話と要約しても嘘ではない気がする。

 この手の話を、日本が作ると観客を泣かせる気満々で「泣かせます!ハンカチの用意を!」みたいな作り方をするから、始終白けた感じに思えてしまうのだが…。
 この作品は、コメディを意図的に織り交ぜることで、話に引き込む。
 奥さんに浮気を隠すのと同じ感覚で、ドイツ軍に隠し事をする。
 命がかかっているか程度の違いと音声解説で語られ、器の違いを感じた。

 ゲラゲラ笑って鑑賞すべきコメディでは無いが、泣かせに来ているわざとらしさが感じられないのは、泣かせる映画に必要な要素と感じさせられた。

 原作もあり、歴史的背景もあり、物語として噛みしめると、物足りない部分も感じはしたけれど、ひとつの答えとしてのこの作品は、素敵だと思った。
猿山リム

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