Jeffrey

二十歳の死のJeffreyのレビュー・感想・評価

二十歳の死(1991年製作の映画)
2.5
‪「二十歳の死」‬

‪冒頭、20歳で散弾銃自殺を図った青年パトリック。

昏睡状態、親戚の到着、フィガロの結婚、病院へ、不安、ミサ、友人、存在と不在、緊張、彼を巡る環境、サッカー、人々。フェルメールの絵画、病状と事件の概要、モーツァルトの歌劇、そして知らせ。今、従弟の生死を巡る2日間が映される…

本作はアルノー・デプレシャンの処女作で、前々から観たかったのだが、レンタルもされずセル版のDVDを購入するしか方法がなかった為、去年購入してようやく初鑑賞した。

91年プルミエ・プラン映画祭最優秀ヨーロッパ短篇映画脚本賞やジャン・ヴィゴ賞を受賞した中編で、少ない上映時間の中に散りばめられた家族たちの断絶や友情、無理解、無関心から恋の話や世代間の関係性などが浮き彫りになる。

そもそも20代と言えばどの国でも最も人生を謳歌できる楽しい時期である。

その時期に拳銃で自殺を図る青年はこの映画には一切登場しない。

物語の事柄を会話の断片で観客に提示し、おそらくテーマは傍観者による罪だと思われる。

なぜ青年が自殺を図ったのか、なぜ家族の一員である彼が存命しているのにも関わらず、この集い(一堂を会する集り)に不在でいるのか…兄弟や姉妹の緊張感を演出するシーンもあり、次第にこの親戚の関係性が1つの生と死へ繋がる。

いや〜冒頭のバスタブで嘔吐する女性のシーンから家族親戚一同が食事の席で喧嘩する場面は強烈。

この映画は僅か50分程度で終わるのだが全編を通して淡々と描かれる。特に面白い場面もなければ悲しい場面もなく、フランス家庭の日常風景(家族の誰かが死にかけている場合の)が垣間見れた感じがする。

監督はパトリス・シェローの門下生を集めて本作を撮ったらしいのだが、以後彼の作品に多く出演する役者がここから固まっていってるようだ。

そして長編1作目「魂を救え」は2時間越えの超大作で長編第2作目「そして僕は恋をする」は3時間超えと言うスケールのドラマだ。

本作に出演していたクリスチャン役のモンタランゲベールは次回作で本格的な映画デビューを果たしている。

わりかしジャック・ドワイヨンの作品に出演している若手が集まっていたなと言う印象を受ける。

パスカル役のドニクールもそうだし、イザベル役のコートもそうだ。

‪美術のアントワーヌ・プラトーの室内の演出が結構良かった。調べてみると監督の残り作品にもほとんど携わっているようだ。‬
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