狂王キシリトールヴィヒ2世

キャリーの狂王キシリトールヴィヒ2世のレビュー・感想・評価

キャリー(1976年製作の映画)
5.0
人が恐れと悲しみと恥ずかしさと憎しみにとらわれた瞬間の表情をおさめるには一般的な映画の画面サイズでは余白がおおすぎて、スプリットスクリーンこそがベストなのかもしれないなと思わされるほどに差し迫った鬼気迫る表現。絶対にあってはならないことだこのまま何事もなく終わっていってほしいと願いながら決定的瞬間を待つ。事が起こる直前の縄を巡る緊張感たるや絶大な編集の妙。たとえ凡庸でケチな悪意であっても、些細な善意では打ち勝つことができなくてむしろ悪意のもたらす悲劇に油を注いでしまうという悲しさ。舞台下に潜むナンシーアレンは人間のこれほど邪悪な顔をスクリーン上に映し出しちゃって大丈夫なのかなってくらい邪悪。過度に人を笑いものにしてしまったり実際以上に笑われていると感じてしまったりって必ずしも学生時代特有のものってわけではないと思うけどなんか色々なシチュが刺さりまくってたな。冒頭からしてシャワーシーンとかはいはいいつものデパルマねって最初思うんだけど、学校のロッカールームの独特の空気感というか同性しかいない遠慮のない閉鎖空間での嫌な笑いがあーこれ絶対良い映画だわーって感じ。シシースペイセクの幸薄顔が絶妙になんか超能力に目覚めちゃいそうな感じで良いし、プロムでの実はちゃんとすると結構いけてます感も最高に輝いてて本当好き。なんやかんやあっての大破壊パーティはもう感情ぐちゃぐちゃで最高だし全てが赤に染まるのなんかもうだめなんだなって感じがめちゃくちゃして良いし、何にもまして目をひん剥いた顔が良すぎる。お母さんのやりとりとかも本当胸が張り裂けそうだったけど最後の最後の不意打ちでほっとして爽やかな気持ちでみ終われたのはなんかいいのか悪いのかわかんないけど好き。