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ポチの告白のFancyDressのレビュー・感想・評価

ポチの告白(2006年製作の映画)
5.0
コレは、かなりショックだった。
久々に脳天直撃!

私的には百点満点の映画だ。 こういう映画に、巡り合えるから、せっせと映画館には足を運ばんといかんなと思う。

見終わった後、暫く座席から立ち上がれんかったわ(暫く身体が動かんかった。)。

3時間15分の映画だが、全く飽きさせないスゲー、パワーで迫ってくる映画だったわ。


ビデオ撮りで粒子が荒かったが、それも許せた(フィルム撮りならどれだけ良かっただろうと思うと少し残念でもあるが、予算がなかったんだろうな。誰かが映画にしなければいけない題材をやってくれたので、それだけで、ビデオ撮りだろうが何だろうが、私には価値がある作品だった。)。

主人公の刑事を演じた菅田俊の口から最高の科白が飛び出す。
“この国には絶対逆らえないものが二つある。天皇陛下と警察だ!”
と取調室で黙秘していた中国人に、浴びせる科白だ。その後、取調室の机を蹴り倒してパイプ椅子で、その中国人をボコボコにする。

淫行する警察、シャブ漬けの警察、シャブ取り引きを見逃すかわりに裏金をガッポリ貰う警察。
奴らはマスコミ操作をして、警察犯罪を明らかにしないのは、当たり前。
国民は、警察の本当の悪事を知らされないままだ。
近年、交番などで警官が自殺する事件などが報道されたが、アレは、個人的な自殺なのか?警察組織に自殺させられたのではないか?と本作を観ると考えてしまう。


本作は、警察問題ジャーナリストの寺澤有氏の資料と原案協力を得て、実際に起きた警察犯罪に正面から切り込んだ映画だ!
また、警察犯罪を報道できない日本の記者クラブ制度の問題をも照射しながら、同時に日本の警察、検察、裁判所、報道の癒着による国家ぐるみの犯罪が現実に存在するという警察支配社会の恐怖を描く。

ストーリーは、交番勤務の真面目で実直な巡査が、刑事課長に認められて、刑事に昇任したはいいが、その刑事課長の不透明な命令に従い、知らず知らずのうちに、警察犯罪に手を染めていく。
その後、組織犯罪対策課長に昇任するが、やがて国家ぐるみの警察犯罪に巻き込まれて自滅するまでを描く。
この自滅する主人公の刑事を菅田俊が迫力たっぷりに好演している。


ちなみに本作には、社会法人・日本外国特派員協会が、同協会史上初めて映画撮影に全面協力している。


役者陣は、主演の菅田俊をはじめ、後輩刑事役の野村宏伸、菅田が演じた刑事の妻役の井上晴美、菅田を破滅の道へと追い込む刑事課長役の出光元、フリージャーナリスト役の川本淳市、新聞記者役の井田國彦、警察バーのママ役の風祭ゆきなど、みんな好演しています。

また、特別出演として、裁判所職員役を、警察問題ジャーナリストの寺澤有が演じ、裁判官役を作家の宮崎学が演じています。




監督・脚本・編集は、松田優作監督の「ア・ホーマンス」での美術で映画界に入り、その後の、内田栄一監督の「きらい・じゃないよ2」などのプロデュースや、伊藤猛主演の「心臓抜き」などで知られる高橋玄。


撮影は、数々のピンク映画の撮影を担当していた飯岡聖英。


本作は、2005年に完成していたが、作品の過激すぎる内容からか、中々、配給会社が決まらなかったが、岡田裕が代表取締役であるアルゴ・ピクチャーズの配給により、やっと2009年に公開に漕ぎ着けた。


警察は、正義の味方のじゃない。
警察という絶対権力は、私ら一般市民を護ってくれはしない。
何時だって、奴らは、検挙したいんだよ。逮捕したいんだよ。
ノルマを達成して給料貰ってるわけだからね。
そして時には、暴力団と組んで甘い汁を吸う。


本作を観たら、警察なんて絶対信用できなくなりました。w
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